中学生編・・・女を隠して生きる 性同一性障害③
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中学生編・・・周りとの違いが浮き彫りに 性同一性障害② - 性転換子の生き様
親友との一方的な別れに心が乱れまくったまま中学入学を迎えた私
男を最大限にアピールする制服を着て、入学式を迎える。
自分は地元から一人だけで来たので友達なんていない。
座席表を見て、自分の座席番号を確かめて座る。
周りは友達グループを作り始めた子もいれば、緊張して静かにしている子もいる。
私はどっちだったかというと 後者 だった。
小学校の頃の私じゃ考えられなかった。結構明るい子だったし、よく喋る子だった。
一度先生に「今から10秒間喋らずにいられるか?」なんて冗談めいて言われるくらい、
よく喋る子だった気がする。
でもそんな私が静かにしてた理由は少し前に塾で親友とさよならしたから。
しかもその理由が自分の「変」な部分が原因だったから。
制服に身を包んだ自分は変じゃないだろうか?喋ったら女の子みたいな声が出るんだから変って思われるよね?動き出したら女の子みたいな仕草だしやっぱそれって変だよね?
頭の中で自分の変な部分を挙げたらキリがない事に気付いて静かにしようと決めた。
でも、ずっと静かになんてできない。やっぱり誰か話しかけてくる。その時は自分が出せる精一杯の低い声を作って短く会話を切り上げた。
体育館での入学式が終わったら、自分の教室で自己紹介だった気がする。
みんなが順々に自己紹介を終えてく。陽気な子。マジメな子。面白い子。中には俗にいう変わった子もいた。でもその変わった子はある程度常識の範囲内で変わった子。
私の番が来た。正直、今思い出そうとしても思い出せないんだけど、わずかに思い出せるのは、クラスで一番暗い挨拶だった気がする。
私の明るさやお喋りな部分はやっぱり自分は女の子!っていうアイデンティティーから来るもので、それが出せないとなるとここまで人が変わるのかっていうくらい暗くなった。
その時に決めたのかどうか分からないけど、私は学校では暗くて普通の子を目指そうと決心したんだと思う。