性転換子の生き様

性転換で男→女に変わった私の人生の歩みや日々のLGBT関係の話で思ったことを書いてます。トランスジェンダーの話がメインです。

SEX CHANGE

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大学生編・・・嘘だらけの恋愛 性同一性障害⑰

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一応、自分で出来る女性化を頑張った私に訪れたのは恋愛だった。

 性同一性障害の人間がそれを隠して恋愛をするのって思った以上に疲れるし、罪悪感に悩まされるものだった。

自分は自分の事を女だと思っている。ただ過去に男として生きた事があるだけで、今は女。  だと思っている。

相手は私の事を女だと思っている。昔から女として生きてきた女。  だと思っている。

上の言葉は似た単語の羅列なのに意味は全然違う。その違いから生まれる辛さはとうの本人に返ってくる。だから私は恋愛を好き好んでしようとは思わなくなった。今日書くのは今まであった3回の恋愛のうちの最初の1回目。

 

その人と出会ったのは大学のサークルだった。大学のサークルっていっても同じ大学じゃなくて複数の大学から集まったサークルで違う大学から来た人だった。

まだまだ沢山の人に混じって何かをやるのに慣れておらず、少し大人し目に活動していた私に積極的に声をかけてきてくれたのが彼だった。

最初は友達関係でだんだん惹かれあって恋人になったっというのではなく彼は最初から恋愛目的で私にアプローチをかけてきたんだと思う。まぁそうじゃなかったら男の人が女の人に声なんてかけることあんまりないからね。

ただ、その頃の私はまだまだ男の人の思考なんてよく知らないから、同い年の大学生なりたての私と友達になりたいんだなってくらいにしか思わなかった。

二人だけで買い物にいったり、友人を交えて複数で遊びに行ったりと色々エンジョイしてたと思う。私は嬉しかった。女として扱ってもらえて誰かとニコニコ笑いながら会話できるのがこんなに楽しいと思ってなかったから。

6年間、自分でいうのもなんだけど波乱万丈な生き方してたから自分が「普通」に生きていられるのがすごく嬉しかった。面と向かって拒否されないっていうのが久しぶりの経験だったからだと思う。

まぁそんなこんなで交流を深めていったんだけど、ある日彼から、

「付き合わない?」

って言葉を言われたの。これだけ普通に楽しく遊べてるんだし2つ返事でOK出してもいいと思う。普通の女性ならね。でも私が返した言葉は、

「ちょっと考えさせて。」

だった。そりゃそうだよね。私達性同一性障害者は過去の性別を知られずに生きていくのが絶対!でも誰かとの距離が縮まれば縮まるほど知られる可能性はある。

ましてや恋人なんてなった日には隠し通すのは至難の業。なによりその頃はまだ手術前だったからセックスなんてしようとしたら確実にばれる。どうしよっかな~って1週間くらい悩んだ。その間も何度もアプローチをかけて来た彼。だから私は、

「私セックスしたくないんだ。ちょっと色々あってね。だから恋愛も出来ないの。」

まぁこういう言い方したら過去にそういうので何かトラブったのかなって推測してくれると思ったし、セックス出来ないって分かったら引くだろう思ったの。

あんまり性知識はなかったけど、セックス出来る出来ないは年ごろの男の子には死活問題だって雑誌か何かで見た事あったしね。でも、彼の返事は私が思ってたのと違った。

「いいよ。出来なくてもいいから付き合おう。」

だった。予想外の返答に私はかなり悩んだ。まさかセックス出来なくても女性と付き合いたいと思う男性がいると思ってなかったし。それに・・・

女性として生活出来てることすら奇跡に近いのに、女性として恋愛まで出来ると思ってなかった。はっきり言うと嬉しかった。だから心のガードがちょっと緩んじゃったんだと思う。私は「それならいいよ。」と返事してしまった。ただし、条件をつけて。

「2週間お試しで付き合って、もしどちらかが合わないって思って別れを切り出しても受け入れるならね。」

って。予防線を張った。もし自分の素性が何かしら感づかれそうならこれを理由に別れを切り出せばいい。今、文章に起こすとすごく高飛車な女だな・・・って思う。

でも当時の私には未知の領域に足を踏み入れるためには用心に用心を重ねないと出来なかった。そして彼との時限的な恋人関係が始まった。

 

今思うと最初からNOと言えば良かったと後悔してる。相手が望んでるのは女として育ってきた女と付き合いたいわけで、元男の今は女と付き合いたいわけじゃないってことをちゃんと理解しておくべきだったと思う。

 

長くなりそうだし今日はここまで。