性転換子の生き様

性転換で男→女に変わった私の人生の歩みや日々のLGBT関係の話で思ったことを書いてます。トランスジェンダーの話がメインです。

SEX CHANGE

性同一性障害の生活覗いていきませんか?

大学生編・・・努力を捨てた日 性同一性障㉞

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大学生編・・・障害のある人、ない人 どっちでもない人 性同一性障害㉝ - 性転換子の生き様

どこかに行くあてもないし、そもそも社会に認められてない生き物だと分かった私は留年を決めた。

 単位はほとんど取ってしまっていたから、大学に行く日なんてほとんどなくだらだら過ごす毎日。今度の壁は自分ではどうしようもなかった。性同一性障害の理解なんて一個人でどうこう出来るレベルじゃなかった。

 

ある日、大学に出向く用事があって校内をぶらぶらしていたらカウンセリングの掲示を見つけた。私の通っていた大学は学生への医療サポートが結構充実していて、カウンセリングもその一つだった。

今の心情を誰かに吐露すれば少しはましになるだろうかとカウンセリングの予約をしてみた。勿論事前に私の事情は説明をして。

 

カウンセラーは物腰の柔らかい女性だった。少しリアクションがオーバーだったけど、多分そういう姿勢で接することで、相手にあなたの話を聞いてるよって分かってもらうっていうやり方なんだろうなと思いながら自分の話をした。

自分の過去のこと、家族のこと、今の状況。一通り聞いた彼女が言った言葉は

「ホルマリーさんが最初に部屋を入ってきて受けた印象は真っ直ぐな強さがある感じの人だと思った。話を聞いていても全部自分で解決してきたんだなっと思いました。」

そんな事言われると思ってなかったから以外だった。大学ではちょっとふわっとした感じののんびりした子っていうイメージで通ってたから。

続けて彼女が言ったのは、

「でも自分で解決しようとしたわけじゃなく、性同一性障害っていう特殊な問題で頼れる人がいなかったから自分で解決するしかなかったんだと思います。」

その言葉は当たってると思った。中学の頃から悩んで、性同一性障害の問題に私と一緒に向き合ってくれる人なんていなかった。子どもながらほんとによく頑張ったと思う。

ほんとなら高校中退でそのまま引きこもりなってたかもしれないのに、よく大学まで行けたなっと。体は何ともなかったけど心は何度もぐちゃぐちゃに壊されながら歩んできた道のりだった。

そんな生き方をしてきたからか人と同じ様に驚いたり、喜んだりできなくなった。若い子がもつ若々しさも私からは消えてしまっていた。だから周りの人は私のことを大人びてる、おっとりしているって言うようになった。

 

何度かカウンセラーと話をして、自分の部屋で自分の過去を思い返すことを繰り返したある日、私は努力をするのをやめようと思った。

中学で居場所がなくて苦しんで、それを変えるために高校受験しそこへ行けた喜び。そしてそこで会ったいじめ。

高校中退を決め、定時制でありながらなんとか高校卒業をし、大学へ行けた安心感。そして大学先であったいじめ。

もっと良い環境で勉強をしたいと思いハイレベルな大学に再入学を果たせた達成感。そしてそこで知った社会からの拒否。

努力をしても結局最後には2倍以上の辛さで返ってきた人生だなと。まるで賽の河原だ。子どもが一生懸命積み上げた石を鬼が一瞬で壊す。私が努力してきた結果を自分以外の第三者が壊す。

だから私は努力を捨てることにした。

 

今回の働く場所がないという問題も努力でどうにかなるのではないかと思ったけど、それは無理だ。だから性転換して女性の戸籍を手に入れよう。お金で解決できる。努力なんて何もいらない。

それまでは日常生活では私の事を女と思ってる人しかいなかったから手術なんてする必要はなかった。だからしようなんて思ったことなかった。手術は痛いし、そんな簡単な手術でもない。実際に性転換手術で二人ほど死んだ人の話を聞いていた。

でも、初めて見た目と戸籍の性別が違うと乗り越えられない壁があるという問題に直面した私は性転換することを決意した。

 

しかし、性転換には200万もの大金が必要。そんなお金を持っていなかった私は稼ぐためにある扉を叩いた。