性転換子の生き様

性転換で男→女に変わった私の人生の歩みや日々のLGBT関係の話で思ったことを書いてます。トランスジェンダーの話がメインです。

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戸籍獲得編・・・主治医に会いに 性同一性障害㊿

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戸籍獲得編・・・老婆のように生きる 性同一性障害㊾ - 性転換子の生き様

日本に戻ってきて新しい体にも少し慣れた私。だから戸籍変更に必要な主治医の診断書を貰いにいった。

 関東に来てすぐに手術のためにタイに旅立った私。そして数週間静養して関西に主治医に会うために戻る。まさに東奔西走。ただし、今度の関西行きは戸籍獲得のために一時的に戻るだけ。

さすがにこんな体で日帰りはきつい。でも実家には女性の姿では帰れない。というか性転換してすぐに家族に会うのは私も家族も気まずい。だから手術で知り合った人のお部屋に数日泊めてもらうことにした。

その人は手術中の記事でも出てきたソウタ君。彼は一軒家住みだったからお部屋が空いてるってことで快くOKしてくれた。友達がほとんどいない私にはラッキーだった。

 

関西へは新幹線を使うことにした。ちょうど病院の駅が新幹線の京都駅と新大阪駅の間にあるため、京都で普通列車に乗り換えて病院へ、その後大阪へいってソウタ君のお家へというプランだ。

京都行の新幹線に乗ってる間は不思議な気持ちだった。ほんの1年前は社会に出るための手段なんて何も思いつかなく絶望し、その後手術を決意し関西を離れた。今は手術も終わらして関西へ向かっている。すごくスピーディーな生き方しているなっと。なんか生き急いでいるって感じなのかな。止まっていた時間が一気に動き出した感じ。このスピードで進んでいったら1年後、2年後は私はどうなっているんだろう。まったくライフプランが分からない人生に不安を感じた。

 

京都に着き普通列車に乗り換え、いつも主治医に会いにいく駅で降りる。ゆっくりしか歩けない体で病院までの1キロくらいの道のりを進む。いつも通ってた道なのにその日は特別な感じがした。だって今日の診察が終わって診断書を貰えば私の治療は終了。二度とこの町を歩くことはない。高校2年くらいの時から1か月に1回は必ず来た町。私の人生を変えるきっかけをくれた町だから、少し寂しい感じがした。

 

病院に入って受付に診察券を渡し、自分の番が来るのを待つ。

「ホルマリーさんどうぞ」

と呼ばれ先生の待つ部屋の扉を開ける。診察は案外あっけない物だった。てっきり術部を見せるだろうと思って新しめの下着を履いてきたのに、そんなこともなく手術を無事終わらして診断書を書いてもらえることになった。最後に

「長い間お世話になりました。」

と告げて部屋を出た。そのあと診断書をもらって病院を後にし、ソウタ君のところへ向かった。

 

ソウタ君は一軒家に住んでいて彼女と同棲していた。ソウタ君は性同一性障害の中では珍しく前向きに生きている人。多分彼なりに悩んだ時期もあったには違いないんだろうけどそんなそぶりも見せずに、彼女を作って仕事もして人生を謳歌している。

同棲している彼女とはじきに結婚するらしい。彼女さんも優しくて素敵な人。私の事情も分かってくれて色々気をつかってくれる。

そんな二人を見て正直自分はここまで楽しく生きるのは、性転換しても難しいだろうなって思った。勿論その時はそれから仕事探しをしなくちゃいけないっていう不安もあったし、まだ慣れていない体に対する不安もあった。でも根本的に違う。そう感じた。

ソウタ君の家には2日ほど泊まり、久しぶりの関西を満喫した後、関東へ戻った。

これから生きていかなくちゃいけない何もよく知らない関東へ。