性転換子の生き様

性転換で男→女に変わった私の人生の歩みや日々のLGBT関係の話で思ったことを書いてます。トランスジェンダーの話がメインです。

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性同一性障害の生活覗いていきませんか?

大学生編・・・会社から見た性同一性障害 性同一性障害㉜

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外資での選考に手ごたえを感じ、他の大学生と就職では同じ土俵に立ってると思った私。

 外資の選考期間が終わり、国内企業の選考が始まった。

銀行、メーカー、コンサル、サービスなど色々な会社の選考が始まり、

私も私と同じ大学の人たちも興味のある会社には一通り応募した。

その頃には高学歴と言えど、リーマンショックの影響が色濃く残った就職活動では、

1本に絞って受けるなんて無謀な行為をする学生はほとんどいなかった。

しかし、普通の学生よりははるかに有利だった。

大手新卒就職サイトに登録すれば向こうから声をかけてくる会社は多数。

企業説明会に参加しようと思ったら特に問題なく参加できた。

(学歴によってフィルターがあって高学歴が優先で説明会に参加できるっていうのは有名だった。)

私も多分に漏れずそういうお声もかかったし、説明会も好きなだけ参加できた。

だって就職サイトには女性の名前で女性として登録してたからね。

 

そして、興味のある会社には履歴書を送った。ただし事前に一言添えて。

「私は性同一性障害で現在女性として生活しています。女性として応募してもいいですか?」って。

ここで返ってくる反応はいくつかに別れた。

 

・いいですよと返してくる企業

主に大企業が多かった。基本的にNoなんて言わなかった。そもそもNoって言ってしまったら差別になっちゃうからだと思う。だから応募は出来た。書類は落ちる事も受かることもあった。ただ面接は一度も2回目までこぎつけたことなかった。

自分の実力不足っていう時もあったし、面接やグループディスカッションですごく上手くできても落ちた。

 

・いいですよと返して面接の際に難色を示す会社

説明会や面接に進めさしてくれたけど、面接の際に「うちは仕事上、着替えることがあってね。そういう場合更衣室をどっちにするかとか色々あるんだよね。」みたいに難色を示された。案の定次の面接の案内は来なかった。

 

・無視する会社

返事はなし。忙しい時期だししょうがないのかなっと思いつつ、知り合いが送った質問には丁寧に返す。あ~そういうことねって思うしかなかった。

 

反応は様々だったけど、すべからく2回目の面接まで行けた会社はなかった。自分の実力不足かもしれない。企業研究が足りなかったかもしれない。服装乱れてたのかな?

正直まだ不況だしね。色んな性同一性障害じゃない要因を探して就職活動を続けた。

だんだん内定者を出して選考を終える会社が増えて、ある2つの経験をして私は就職活動をやめた。

 

ある会社でグループディスカッションがあったの。いくつかのグループに分かれてあるテーマについて結論を出して発表するっていうよくある形式。私のグループはあんまりそういうのをやったことない人がいっぱいいて私がリーダーをした。役割決めもして話も論点がずれないように進めて、最終的になかなかの結論が出せた。

発表も他のグループと比べたら頭1つ出てるような内容。そのディスカッションが終わった後はグループのメンバーがみんな私に対して感謝の言葉を述べた。

「ホルマリーさんがいなかったらどうしていいか分からなかった。」

「ホルマリーさんの進め方が良かったから上手く結論だせたよね。」

みたいな言葉を。私もみんなで頑張った結果だよ~なんて言いあいながら最後にはメアド交換。次の選考みんな進むといいですねって言って別れた。

あれだけ上手くできたし今度こそは2次選考いけるだろうなって思いながら選考通過の案内を待つ私。だけど来ない。

ちなみに私とメアド交換したメンバーには「選考通過しました~!」なんてメールが来るの。結局私に届いたのはお祈りメールだった。

グループディスカッションって各グループに社員さんが付くの。誰が上手くやってるか、積極的なのかって。それで評価して次の選考に進めるかどうか決めるんだ。

私のグループは自分で言うのもなんだけど、私がいなかったらグダグダに終わってたと思う。意見なんて私が「~さんはどう思いますか?」なんて振らなかったら意見出さない人がほとんどだったし、論点ずれそうになる事も何度もあった。それを変な方向に行かないように軌道修正したのも私。

でも結果は私が落ちた。

 

もう一つはあまり新卒の学生には人気がない企業。この会社の事をよく知ってる人が言うには、面接の過程で学生が「他に決まりました」ってお断りするケースが多いから、面接を自分で辞退しない限りはある程度の学歴があれば通る会社だよって聞いた。

そこに受けた同じ大学の友人がいて、お互いに次の面接どんな事聞かれるんだろうねーなんて話してた。友人には二次面接の案内が来て、私には来なかった。

 

私はここで現実を知ったの。性同一性障害は同じ土俵に立てないんだって。

よくよく考えたらそうだよね。お金を払って大学に行くのと、お金を貰って会社で働くとでは同じ扱い受けるはずないのにね。(勿論、企業には労働って対価を払うんだけど、新卒の子が最初のうちから成果なんて出せないでしょ。)

 

今、これを読んでる人の中で性同一性障害のせいにしてるだけで自分の実力不足じゃないの?って思った人がいるかもしれない。その可能性は否定できない。

でもね、大学卒業した後に性転換して女性の戸籍で企業の面接受けたら、2次面接に行ける企業は沢山あったし、内定も問題なくもらえた。ちゃんとした職歴もないのに。

それに会社で働いてて、人事に関わる話を聞く機会があるんだけど、会社の人事担当者は学歴も職歴も見るけど、何よりも気にするのが変なところがあるかどうかなんだよね。

 

ある時、大学の友人が私に言った。

「ホルマリーは履歴書の書き方も志望動機もしっかりしてるから大丈夫だよ。運が悪かっただけだって。でも何がいけないんだろうね。」って。

彼女は私の過去を知らないから不思議に思ったんだと思う。私は返す言葉がなかった。自分が性同一性障害だからいけないんだよ。って心の中で言うしかなかった。