大学生編・・・自分の過去を告げて 性同一性障害⑳
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大学生編・・・学生生活の唐突な終わり 性同一性障害⑲ - 性転換子の生き様
自分の素性が一部の人にばれて、絶望に陥った私。
まだ自分が元男だって知っている人はごく一部。それならその人達から友人や元彼に知られるくらいなら自分で言ってしまおうと決心した。
まずは友人から。何度も連絡をくれて、メールもくれた彼女達に電話をしてみた。
むこうの第一声は「どうしてずっと休んでるん?」的な質問だったと思う。
私は少しほっとした。自分の事まだばれてないんだなって。ここで私は少し考えた。
私の素性を知ってる人間は私の友人とは特に仲良くない。グループは違ったし、着てる服の好みとかも違ったから。だから、このまま黙っていれば今までどおり同じような友人関係でいられるのかもと。
でも、やっぱり言うことにした。だってこのまま何食わぬ顔して大学にいっても、私の事情をしってる人達と同じ授業受けることになるからね。どんな風に話したかは特に覚えてない。もしかしたらそこで一旦切ってメールで教えたような気もする。
私が元男だと知って友人達の返事は、
「そうやったんや。知らんかったわ。まぁ言われてみればちょっと体格いいもんね~。
でもそんな気にせず学校きいや。」
って言ってくれた。多分、彼女達は上の言葉を言うのに結構考えてくれたんだと思う。
そんなさくっと上の言葉を出せたわけじゃないと思う。だから、少し安心して涙が出た。私はその後ごめんねって何度も言った気がする。
次に、元彼に電話してみた。こっちに自分の過去の事を伝える時はずっと泣きながら伝えてたと思う。正直もうあんまり覚えてないんだ。ただ、彼は「そっか。」って言って短い電話で終わったと思う。その後何度かもっと色々何か言わなきゃって思って電話したけど彼はでなかった。
出てもらえなかった私は傷ついた。でも多分彼の方がもっと傷ついてたと思う。そりゃそうだよね。女性だと思ってた人間が元男なんて。ほんと私は馬鹿なことしたと思う。
私だって恋してみたかったんだっていう理由だけで2週間も付き合っちゃったんだから。こんな風に周りの人間に私が元男ってばれたら、彼だって元男と付き合った男っていうレッテル貼られる可能性だってあるのに。
私が出来たのは、彼が大学でひどい目に合わないようにって祈るだけだった。
友人と元彼に自分の過去を告げた後、私は次の日から大学に行ってみた。もしかしたら普通に通えるかもっていう可能性にかけて。
1限目の授業は元彼も友人も一緒にとってない授業。特に問題なく受けれそうだなって思って安心したのもつかの間、私が一番会いたくない人達と目を合わせてしまった。
そう、私の素性を知ってる人達だ。5人くらいで固まって笑いながらこっちを見てる。
もう、それは面白くって仕方がないって顔でじろじろ見てくる。
私は気持ち悪くなって授業が始まる前に自分の部屋に戻った。
部屋の鏡を見ると死にそうな顔をした私。下着は汗でぐっしょり濡れてる。
すぐにカーテンを閉め切って部屋を真っ暗にした。
どうしようどうしようどうしよう。私やっぱり学校にいけない。
高校生の事いじめてきた子達の顔がよぎる。いきなり暴言を吐かれた思い出が蘇る。
手がぶるぶる震えてくるしどうしたらいいか分からなくなった。
そして、私はその日からベッドの上でほとんど動かず、ほとんど何も食べずに1週間過ごした。