大学生編・・・女として生きるために別れる 性同一性障害㉚
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大学生編・・・優しい人 性同一性障害㉙ - 性転換子の生き様
彼の優しさを改めて知ることが出来た。だからこそ別れることにした。
彼に病気の事を伏せて過去を話し、それに泣いてくれる彼を見ていくつか考えがよぎった。
まず1つは「このまま私が彼の時間を占有していいのだろうか」
こんな優しい人は自分にはもったいないなっと。このブログでは綺麗な事しか書いてないけど、私は結構黒い人間だと思う。やっぱり過去にあんな経験ばっかりしてると心はゆがむ。自分が愛し、愛される資格なんてないと思った。
2つ目は「この人なら病気を打ち明けていいかもしれない」
この人なら自分の病気を打ち明けても嫌いにならないのかもしれない。ずっと側にいてくれるのかもしれない。
正直打ち明けたかった。自分の男だった過去を誰にも分からないように生活するのは慣れた。でも、そうやって生きるのってすごく疲れる。ふと、自分の素性を知らない友人や知人と話している時、この人たちは私が女だと思ってるから仲良くしてくれるんだよね?過去を知ったら掌返して冷たくするんだろうなって。そんな事思いながら人と接してると虚しくなる。こんな風に考えちゃうのはこの時だけじゃなくて性転換終えた今でも常々思っちゃうけどね。
だからこそ、彼の優しさなら過去も受け入れてくれるだろうと。そんな期待が心の中に浮かんだ。
結局お泊りを終えて、次の日自分の家に帰る電車の中で、彼と付き合い続けるのか、付き合い続けるなら打ち明けるべきだろう。でも打ち明けないのなら別れよう。と心の中で決めた。
数日悩みに悩んで別れることを決意した。
その理由は、私は恋をするために大学に入ったわけじゃない。女として生きて女として社会に出るために今の大学に入ったから。
もし、彼が受け入れられなくて自分の素性を誰かにばらしたら大学にいられなくなるって思ったの。そもそも彼との出会いは友人に誘われた合コンだったから、もし彼がばらしたら私の友人の耳にも届いちゃう。
もし友人が私の過去をしって悪意を持って周りに広めたら私はまた大学にいけなくなってしまう。
それだけは避けなくちゃいけなかった。また引きこもって幻聴や文字が見えなくなるなんてことなりたくなかったし、自殺しそうにもなりたくなかった。
それに、大学にも迷惑かかっちゃうから。大学は私の事を女として受け入れてくれた。女子トイレも使っていいって言ってくれたし、学生証も女の名前にしてくれた。
もしここで私が男ってばれたら、それに許可をだした大学の責任が問われちゃうって思ったの。女生徒の中には私の素性を知って男と一緒のトイレ使ってたなんて!って最悪法的な手段に出る人もいるかもしれないし、新聞にも載るかもしれない。悪いイメージついちゃうでしょ?
いやいや、それは考えすぎでしょ。って読んでて思った人いるかもしれない。でも、ネットでちょっと検索したらそういう話見つかるからね。
だから、どんなに優しい彼でも素敵な彼でも私は最悪の可能性を考えて別れを切り出した。電話口で「やっぱり私恋愛とか向いてないみたい。君ならいい人すぐ見つかるよ。」って伝えて、彼からどうしてって聞かれてもうやむやに答えた。最後には向こうは諦めてくれた。私は電話を切った後、泣きながら天井を見つめてた気がする。
性同一性障害なんだししょうがないよねって。